札幌市近郊の町、荏原市で発生した女子大生殺人事件。遺体の首と両手は切断されて持ち去られ、現場にはフランツ・カフカの『変身』の一節が残されていた。その猟奇的な手口は5年前に発生した『グレゴール・キラー事件』に酷似しており、ほどなくして更なる被害者も現れる。グレゴール・キラーに相棒を殺された過去を持つ刑事、加地谷と新米刑事の浅羽は、事件の捜査を進めるうち、被害者の霊を目撃したという青年に遭遇する。最初は半信半疑な刑事たちだったが、青年の証言により新たな犠牲者が出たことを知り、逃走した犯人を追う。連続殺人鬼グレゴール・キラーは何故、現場に『変身』の一節を残すのか。被害者の共通点は何なのか。それらの謎を解き明かし、猟奇殺人犯へと迫る加地谷と浅羽が目にする事件の真相とは……
以下、ネタバレ有りですのでご了承ください
現在発行済みの3巻まで読了。
シリーズの話は終わってません。
読む前にこの本の紹介でホラーミステリーとしてかなり本格的……と言う感想を見ました。
実は2巻までは私にとってはそれほどでも無い話でした。
むしろちょっとがっかり感が……
これはきっとこの手の本をどれくらい読んでいたかによると思います。
耐性が無い人にはかなり怖くて読めない人も居るかも知れません。
私の愛読書には内藤了の「猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子」シリーズがあるので、こちらに比べたら……と思ったのですよね。
一言で「怖さ」と言っても色々あると思います。
単純にお化けと言う名の夏の風物詩的な怖いものとか。
私の言う「怖さ」はそうではなくて、人間の怖さです。
犯罪の種類や殺人鬼そのものはもちろん怖いですが、その裏にある人間の怖さです。
シリアルキラーに代表される、これって人間のすることなの?人間がここまで悪意を持てるの?的な怖さです。
しかも本人は全くそれらを感じていない。
善悪とか心の痛みなんて持ってないというよりもはじめから知らない、そんな人間の怖さです。
藤堂比奈子のシリーズは本当に底の底までそれらが怖くて、内藤了作品は全てがそんな感じですけど、それら全てが好きです。
それらに比べると弱いと思ったんですよね。
読み終わる前に途中で全てわかってしまった1巻とか、2巻も同時に買ってしまったのも失敗したかなぁと思ったくらい。
仕方なく2巻も読み始めて前半は退屈でしたが、終盤やっとちょっと興味が沸いて、3巻も買って読みました。
簡単に述べると、
1巻は退屈でした。
2巻は新しく加わった女性キャラがウザくてそれが苦痛でした。
3巻の序盤もこのキャラが邪魔で……と言うのも、もともと加地谷の相棒の浅羽がそもそもうるさいキャラで、こちらだけでも持て余していたのに、それ以上にうるさいキャラが登場して、事件に関係ない余計なセリフが多くなり、本題の方に入り込めなくて邪魔なんです。
もうちょっとドタバタ劇は減らしてほしい。
しかし俄然面白くなってきたのは3巻も途中から、事件の都合上煩いキャラの出番が少し減ったのでマシに。
そしてもう一人の女性キャラ天野の過去の事件と繋がりが出てきてやっと興味が持てました。
縦軸には加地谷のキャラの変化と天野の過去の事件。
加地谷は過去に相棒を目の前で殺され心身ともに追い詰められた過去が。
犯人からお前はこちら側の人間とか言われてしまう。
このセリフって猟奇犯罪ものを追いかける主人公がよく言われるセリフですよね。
過去に読んだ他の作品でも何度か出て来たセリフだから別に目新しくはないのだけど、興味はひかれる。
そして天野の過去に起きた父親の殺人事件。
これは間違いなく今後の事件に続くもの。
そして気になるのがウザキャラの一人、浅羽の両親も実は殺されていてまだ犯人が捕まってないところ。
↑これって今後関係してくるのか注目してる。
この縦軸が気になるので今後も読みたとは思っているのですが、気が重いのは主要キャラの四人のうち二人がウザキャラということ。
話の進みには邪魔です。
読んでいて嫌な方に気になりすぎる。
そして縦軸の秘密には興味をひかれるけれど毎回起きる事件が無理に大仰な感じがする。
その割には底が浅くすぐにわかってしまう点。
読者に文章で大回りさせてるだけな感じがしてしまう。
読みづらいのかな。
何度も比較してしまうけど、内藤了作品などはとても読みやすく無駄が無い感じがする。
そして不気味さをこの作品よりもずっと感じる。
こちらのバベルはライトノベル感が拭えない。
つまりこの手の作品初心者向きのような気がする。
ただ1巻よりは3巻の方がスピード感が上がった気がするので今後に期待はしてる。
気を持たせるよりも事件の難解さで魅了して欲しい。
『猟奇犯罪』ものは流血はもとより、人体バラバラとか、エグイ描写が多いので大丈夫な方のみお読みください。
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