その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。
自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――
以下、ネタバレ有りですのでご了承ください
さすが、脚本家の方が書く小説だなぁと思います。
他にも作者のいくつかの作品を読んでますけど、場面転換とか、時間の移動とか、ドラマ仕立てですよね。
ドラマの展開、構成そのもので脚本を読んでいるよう。
その分判りづらいところもあって、展開するなら冒頭に日にちとか時刻の表記が欲しかったなあと言うのが正直なところ。
今回の作品は超長編。
最近は電子書籍か、Audibleなので、本の厚みとか本の重さとかを感じずに読んでいますが、昔は手が怠くなるとか、寝転んで読めないとか、持ち運ぶのに不便とか、長編好きな私には逆に過酷な物理現象でした(笑)
今はその点、不便さを感じなくなって嬉しい限りです。
その分、読み始める前にそれとは知らずにいることが多くなりました。
実感するのは購入するときに値段が高いのでそれと知るくらい。
それもAudibleの聴き放題になると経済的に本当に助かります。
シリーズものや長編のお高いものはAudibleの聴き放題で済ませることが多くなりました。
お気に入りの作品や作家買いの方の作品は電子書籍も購入しますが。
さてこのお話。
ミステリー枠だったのですが、私見ではミステリーじゃないよね。
冒頭が本当に上手いのですよ。
サビから入る雰囲気で、ここだけ読んだらミステリーだと思ってしまう。
しかもサビどころか大サビ?とも思っていたのですけど、違います。
このお話の本質はそこじゃない。
つまりはミステリーじゃなくて社会派小説ってやつ?
警察官は脇役です。
主人公の四人の若者の成長物語と言うには厳しすぎる、社会への挑戦、社会との戦い。
この話の本質は昨今問題になっている、非正規雇用やブラックといわれる仕事現場の実情。
そしてそれを許してる企業経営者と政治家の癒着。
単純に『労働者よ、もっと怒(いか)れ!』ですかね。
昭和育ちの私も近年思いますもの。
最悪の雇用条件なのに『スト』とか無いんだぁ……と。
自分は今「会社」という組織とは関係ないところにいるので直接は関係ないのですが、昔は電車もバスも飛行機も止まったし、デモとかストライキ、座り込み。
年齢がバレちゃいますけど、子供の頃そんなものがゴロゴロしてましたけど、いつのまにやら無くなってしまった。
日本人て怒らない人種なんだとつくづく思いますもの。
これを読んで、是非とも「労働とはなんぞや?」と考えてみてください。
バッドエンドにはなりませんから、希望を持って読んで欲しいです。
そして途中では、彼らとともに怒りを感じてほしいと思うのです。
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